LEMON AND MAGAZINE

THE WAY TO USE A BOOK

ていねいに扱いながら、雑に関係を築く、本との楽しい毎日を。本と自分の“きらくな関係”のすすめ。

途中でやめてもいい

1冊読み始めたら、読み終えなければならないというルールはどこにもないのに、どうしてそう思い込んでしまっていたんだろう。一度は信じて選んだ本も、「これではなかった」とか「今ではない」とか思ったら、途中でやめる勇気を持とう。時間は有限だもの。いつか自分にフィットする時まで寝かせておくのもいい。

好きなところから読む

目次を見て気になるところから読んでもいいし、気になるところだけ読んでもいいし、推理小説を最後の章から読んで、犯人を知ってから読み始めるのもいい。本の中で、自分は自由だ。自分のさじ加減で速度が変えられるし一時停止もできる。
私は発売を楽しみにしている雑誌ほど最後のページから読み始めるクセがある。好きな雑誌が読める興奮を抑えるために、あえて最後から一度読んで既視感を付けて、冷静になって最初のページから開くのだ。

何冊も同時に読む

1冊読み終えてから次の1冊、という読み方もシンプルでいいけれど、何冊も同時に読み乱すのも気軽でいい。持ち歩き用の文庫や新書。家で読むためのハードカバー、大型本。お風呂で読むための古本。TPOによって読み分けたい。
さらに、ノンフィクション、歴史小説、恋愛小説、ミステリ、詩集、フードエッセイ、実用書などなど、気分によっても読み分けたい。どの本によく手が伸びるかで、今の自分のモードに冷静に気付いたりすることもある。

悩みがあれば本を買う

なにか悩みが生まれたら、まずはそれに関連する本を買う。本屋やネットで探して、類似本数冊から吟味して、購入した時点で、すこーし気持ちは落ち着いている。「あぁ、この本を読みさえすればもう大丈夫だ」と。それから本を開いてみる。そこには解決の糸口や、共感などがあるだろう。でも本を開かなくてもいい。悩みにまつわる本を買う、ということが精神安定剤的な役割を持つ気がするのだ。

積極的に“積ん読”する

大好きなスタイリストが「着たい服はお店に行くよりも、自分のクローゼットを探す方が見つかる」と言っていたのに憧れ、「読みたい本は本屋に行くよりも、自分の本棚を探すほうが見つかる」という状態にしておきたくて、未読の本を積んでいる。そうすると、積ん読コーナーは自分の好みど真ん中の本ばかりがある小さなセレクトショップのような状態になる。そこで「次は何を読もうかな」と迷う時間のしあわせよ! 「読まなくちゃ」というプレッシャーを感じない人におすすめである。

シャツ¥16,500、ショーツ¥6,380/ともにSLEEPY JONES(モットハウス・トーキョー )、その他/スタイリスト私物

  • photo: Kyosuke Azuma
  • styling: Kaho Yamaguchi
  • hair & make-up: Yoko Yoshikawa
  • model: Merii
  • edit & text: Kaoru Adachi